木之下晃氏は新聞社や広告代理店からキャリアをスタートし、辞めてフリーになったあと音楽家を撮り続けていたそうな。被写体は歌手・楽器奏者・ 指揮者など幅広い。 ステージで演奏しているその瞬間を写真に収める。ジュリーニ、 マリア・カラス、マイスキー、小澤征爾、 カラヤンなどなど錚々たる音楽家たちの写真が展示されている 。「写真から音が聞こえてくるようだ」とは言わないけれど、 うーん確かに一番いい顔( すなわちそれは演奏がうまくいっていて、 かつ曲中でも聞きどころな箇所) だということはなんとなくわかった。 ていうかそういう状態のことを世の人は「写真から音が~」 というのだろうか...
印象的だったのは、キャプション内での「 神がシャッターを押すようなときがある」という木之下氏の言葉。 すごくうまくいっている演奏って大いなるものが導いているように 感じるときがあり(特に室内楽とかは)、 それに近いものが撮影にもあるのだなと知った。 そういう意味でこの人の撮り方は音楽的、 あるいは舞台的といえる。あとは、 撮ったものを現像する必要があるのも、 ちょっと前述のとは意味違うけど再現芸術っぽいよね。
軟派な写真の展示ばかり見てたので久々にこういうの見た。 写真と建築の見方がわからないので、(作品としての)写真史・ 建築史の勉強がしたいと言い続けて早数年...。 音楽と撮影における、「音が出るまで」「写真になるまで」 がちょっと似ているのに気づいたら興味出てきてしまったので、 えいやでカメラでも買ってみようかしら。