ベーコン

燻製の豚肉です

エキソニモ UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク/東京都写真美術館

https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3817.html

インターネット黎明期からインターネットを使用した作品作りを...」で飛びついてしまった。私はネット黎明期生まれダイヤルアップ接続育ち。なりチャのやつはだいたい友達で、ピ――ロロローー(接続音)を子守歌としてきた。嘘だけど。インターネットに育てられた私が、インターネットを使ったメディアアート作品を見ないわけにいかないのだ。
ところで、メディアアートといって思い浮かぶものといえば、アルゴリズムによって自在に動く動画、またはそれを投影したインスタレーション....。私の乏しい知識だとそうやった軟派な(非定型の)作品=メディアアートなのだが、エキソニモによってそれが覆された。エキソニモ、圧倒的に「物」なのだ。
もちろんおなじみのメディアアートメディアアートした作品もあるが、そんな中で度肝を抜かれた作品が2つあった。「断末魔ウス」「Shotgun Texting」である。
「断末魔ウス」はマウス(操作するほう)による作品だ。ショーケースの中には、ボロボロのマウス。人為的に壊したものっぽい。ショーケースに載っている古いMacのモニターには動画が流れている。それを見ると、車に轢き潰されたり、ミキサーにかけられてボコボコになっていくマウス。は?
モニターにはマウスカーソルがあり、車に潰されたりミキサーにかけられたりするマウスの動きを再現して、バタバタと薄気味悪く動く。マウスが完全に壊れるとカーソルも止まる。つまり、死に間際のカーソルの動きを見ているのである。こわ。
度肝作品シリーズ二つ目は「Shotgun Texting」。これは、キーボードをショットガンで撃つ作品である。頭おかしい。ただ撃つだけではなく(当たり前だ)、こちらもキーボード撃たれたときにタイピングした文字を記録しておき、それが3つほどある被狙撃キーボードたちそれぞれの作品タイトルとなっている。死に際のマウスよろしく、キーボードはどんな遺書を!?とワクワクしてタイトルを見たが、「/////////////////////////////////」「5」「」と、即死だったのが見て取れた。そりゃあな。


2作品に共通してるのは、インターネット(というかコンピューター)に関わるデバイスを、物理的にぶっ壊しているところである。プログラミングなど生ぬるい。破壊は創造、暴力は構築であることは、情報化社会で生まれたメディアアートでも変わらないのである。そしてそれを、インターネット初期から作品作りをしているエキソニモが表現するのは、大変説得力があるのだ
おそらくエキソニモの二人も、ネット回線(もちろん当時は有線だよね)の物理的な接触不良や、キーボードやマウスなどデバイスの不良に悩まされたことだろう。映りづらい分厚いモニターをナナメ上から叩いて泣いた日もあるのではないだろうか。そうであってほしい。
そういう苦労をしている(していないかもしれない)エキソニモだからこそ、バイスそのものの面白さをよくわかっている。だから、メディアアートではあまり見ない「ぶっ壊し」にカチ込めるのだと思う。