ベーコン

燻製の豚肉です

月岡芳年 血と妖艶/太田記念美術館

月岡芳年 血と妖艶」に行った。日本画浮世絵だけの展示を選んで見るのは久しぶり。イラスト系のデザイン案件を抱えていたので、浮世絵的な上手い絵を見たかった。


月岡芳年は幕末から明治初期に活躍した絵師で、そのため海外の絵の具や絵画にも触れているそうだ(知らなかった)。いかにも二ホンの浮世絵らしい美人画から、西洋の影響が見て取れる、遠近感のある残虐画まで楽しめた。芳年は構図設定と細部の描写が恐ろしくうまい。なんでうまいかというと、画の中のシチュエーションがむちゃくちゃ細かく決まっているからだと思う。登場人物のもとある設定以外に、彼の中でいろいろなことがおそらく決まっている。性格や生い立ち、画の設定の直前にしていたこと、考えていたことなど。芳年は自分の頭の中で、人物や画角を設定されたシチュエーションに沿って自在に動かし、任意のところで一時停止させ、それを卓越した描写にて画を作っている。だから、ストーリー性と臨場感のある、映画のスチール写真のような絵が描けるのではないかと思った。知らんけど。
作家の制作過程は2パターンあって、手を動かしながら作品を決めていく人と、頭の中で決まったものを手で組み立てていくだけの人がいる。0か100かにはならないが、概ねそうだと思う。知らんけどとか言ったけど、芳年は後者の人だろう。現代に生きて、映像制作をしてほしかった。月岡芳年の作った4DXのSF映画、めっちゃ観たくない?